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アジアカップ日本代表の初戦をGK目線で振り返る
2/2 失点② 自らPKになるシチュエーションを作り出してしまった
ディフェンスの選手のポジショニング、それに伴い出来たスペース、そしてGKのポジショニング及びブレイクアウェイ(狙い)が後手に回った。
相手FWがパスを受けるまでにこれだけの危険な状態が作り出されていた。そして、GK(権田選手)のパスに対する対応、1対1の対応もまた後手に回り、結果PKを与える事となってしまった。
失点をしてしまった以上、「失点を防ぐ為に何が出来たか?」を考えるのは非常に簡単で、PKを与えるという結果にならないようなプレーと判断を導き出さなければならない。
それらを踏まえ、以下GKやディフェンスの戦術のおける「コミュニケーション」について、説明していこうと思う。
言語非言語コミュニケーションも戦術の一部
今回のトルクメニスタンのプレッシャーは日本の中盤から前に掛けて非常にタイトだった。失点シーンでは自陣での日本のスローインから、北川選手のドリブルを奪われCBの間へのスルーパスから1対1を作ったショートカウンターであった。
では、GK(権田選手)及びディフェンスの【グループ戦術】として、どうしたら失点を各フェーズで防ぐことが出来たのか?
私は今回、以下のような「?」を投げ掛けたいと思う。
大事なことは「答え」ではなく、思考を巡らせる事である。
こうして失点という現象に対して「?」を抱き、自分自身の課題や目標と照らし合わせ、新たな課題の抽出を試みてほしい。
オフェンスにシフトした時のDFのポジショニング、展開などの決め事は?
そもそもネガティブトランディションによるカウンターとはいえ、自陣で前を向いた相手に対して、CBの間と裏に広大なスペースを与えしまってはピンチになってしまう。これはリスクヘッジの観点でGKがコーチングをするのであれば、(CB)吉田選手を開かせずにステイさせておく必要があった。もしくは、CBが開く事を前提にGKがブレイクアウェイを狙いポジションを上げて、スルーパスが出た時に相手との間合いを詰めてプレッシャーを掛けることが出来る距離にいなければならない。
実際にPKになるようなタイミングで距離を詰めてしまっているのは明らかである。
ディフェンスラインの裏へのパスにどれくらい積極的にブレイクアウェイを狙ってポジショニングや判断を行おうとしていたのか?
前述したように、GKの判断基準にはいくつかあるが、それらの中枢を担うのが「情報収集」である。これは戦術としても大事な要素である。相手、味方、ボール、スペース、距離感などの状態を瞬時に正確に把握する能力は非常に重要である。
試合中は、味方通しコミュニケーションを取る。これは言語によるものと非言語によるものとがある。
言語はいわずもがだが、非言語とは、「情報収集」が鍵となる。例えば、先の失点シーンでのCBと相手FWのポジションやボールを持った相手の目線や狙いを瞬時に捉え、自分のポジショニングとブレイクアウェイの準備がどれくらい出来ていたのか。は結果的に相手のタイミングに合わせてPKを与えた分、準備としては不十分だったと言わざるを得ない。
日常生活の中での「認知」からはじまるGKの戦術的視野の強化
では、このような”戦術的な視野”をどう強化していくのか?
まずはしっかりとサッカーを試合中や試合後にも「振り返る」こと。GKは分かりやすく失点や好プレーの背景にどんな状況があったかを知る事で、以後コーチングに生かしたり、危機管理の引き出しの中に蓄積させて、また状況に応じてその引き出しから、最良の判断を選択するようにしていくのだ。
技術が必要ならトレーニングを行う事も出来るはずだ。
また、認知は日常生活の中でも養えるものだ。
例えば、道を歩いたり、(自転車などで)走っている時の周りの情報をどれくらい把握しているか?
角から急に人が飛び出して来たと思うが、ミラーを見ればそこに人がいる事は事前に把握できる。
人ごみの中を歩くにしてもどこかで向かってくる人や前にいる人の所作(目線や歩き方)を認知して、次の行動予測を立てて、自分の歩く方向を決めたりしているだろう。
ちょっとした現象も振り返り、どんな状況が現象を起こす要因となったのかを考えてみてはいかがだろうか?
動画参照元▼
https://youtu.be/iE9CQUf3u2U?t=326
(写真はネットよりお借りしました)